- この絵本はあかえほのオリジナルコンテンツです。絵本の著作権はあかえほ、ならびに担当イラストレーター様に帰属します。
- ご家庭・非営利目的で活動する少人数のグループ・保育施設などでのご利用に限り、PDF絵本を無料でダウンロードいただけます。
- 絵本は予告なく内容変更・削除となる場合があります。
- 絵本および挿絵の無断転載、二次利用は厳禁です。挿絵の一部は有料販売しております。挿絵を商用利用されたい方は有料サイトでご購入ください。
→イラスト販売のご案内 - 絵本の挿絵の一部は姉妹サイト「ちびそざい」にて白黒版を配布しています。園だよりなど、非営利目的でご使用ください。
少し切なくて、どこかあたたかい、ファンタジーの物語絵本
影の国のローザ
文:ちびこママ 絵:naokuro
![ここは、<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>の<ruby>国<rt>くに</rt></ruby>。<br>
<br>
わたしたちは、<ruby>人<rt>ひと</rt></ruby>の<ruby>形<rt>かたち</rt></ruby>をした、<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>。<br>
<br>
<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>の<ruby>国<rt>くに</rt></ruby>では、わたしたちは、<ruby>自由<rt>じゆう</rt></ruby>に <ruby>動<rt>うご</rt></ruby>くことができる。<br>
<br>
<ruby>考<rt>かんがえ</rt></ruby>えることが できる。<br>
<br>
おしゃれな <ruby>服<rt>ふく</rt></ruby>をきて、 お<ruby>友達<rt>ともだち</rt></ruby>と おしゃべりするの。<br>
<br>
<ruby>同<rt>おな</rt></ruby>じことを くりかえす <ruby>毎日<rt>まいにち</rt></ruby> だけど、 とても<ruby>幸<rt>しあわ</rt></ruby>せ。<br>
<br>
<ruby>永遠<rt>えいえん</rt></ruby>に つづく <ruby>幸<rt>しあわ</rt></ruby>せ。](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-1.webp)
ここは、影の国。
わたしたちは、人の形をした、影。
影の国では、わたしたちは、自由に 動くことができる。
考えることが できる。
おしゃれな 服をきて、 お友達と おしゃべりするの。
同じことを くりかえす 毎日 だけど、 とても幸せ。
永遠に つづく 幸せ。
![<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>の<ruby>国<rt>くに</rt></ruby>に いるものは、 なまえを <ruby>持<rt>も</rt></ruby>たない。<br>
<br>
だけど、わたしは <ruby>自分<rt>じぶん</rt></ruby>の、かつての なまえを <ruby>知<rt>し</rt></ruby>っている。<br>
<br>
<br>
わたしの なまえは、ローザ。<br>
<br>
<ruby>古<rt>ふる</rt></ruby>い <ruby>古<rt>ふる</rt></ruby>い <ruby>昔<rt>むかし</rt></ruby>の <ruby>記憶<rt>きおく</rt></ruby>の なかで、<br>
<br>
わたしの お<ruby>母<rt>かあ</rt></ruby>さんだった <ruby>人<rt>ひと</rt></ruby>が、<br>
<br>
わたしの ことを、ローザとよんだ。](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-2.webp)
影の国に いるものは、 なまえを 持たない。
だけど、わたしは 自分の、かつての なまえを 知っている。
わたしの なまえは、ローザ。
古い 古い 昔の 記憶の なかで、
わたしの お母さんだった 人が、
わたしの ことを、ローザとよんだ。
![ただただ、<ruby>楽<rt>たの</rt></ruby>しかった <ruby>日々<rt>ひび</rt></ruby>の <ruby>記憶<rt>きおく</rt></ruby>。<br>
<br>
かわいいローザ、<ruby>愛<rt>あい</rt></ruby>するローザと、<br>
<br>
<ruby>今<rt>いま</rt></ruby>でも、あなたの <ruby>声<rt>こえ</rt></ruby>が、<ruby>聞<rt>き</rt></ruby>こえる <ruby>気<rt>き</rt></ruby>がする。<br>
<br>
<br>
わたしは <ruby>不幸<rt>ふこう</rt></ruby>にして、からだを<ruby>失<rt>うしな</rt></ruby>い、<br>
<br>
<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>の<ruby>国<rt>くに</rt></ruby>へ やってきた。<br>
<br>
<ruby>痛<rt>いた</rt></ruby>かったとか、<ruby>苦<rt>くる</rt></ruby>しかった とかは、<ruby>覚<rt>おぼ</rt></ruby>えていないの。<br>
<br>
<ruby>今<rt>いま</rt></ruby>は ただ おだやかな <ruby>毎日<rt>まいにち</rt></ruby>を くりかえすだけ。](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-3.webp)
ただただ、楽しかった 日々の 記憶。
かわいいローザ、愛するローザと、
今でも、あなたの 声が、聞こえる 気がする。
わたしは 不幸にして、からだを失い、
影の国へ やってきた。
痛かったとか、苦しかった とかは、覚えていないの。
今は ただ おだやかな 毎日を くりかえすだけ。
![もう、<ruby>悲<rt>かな</rt></ruby>しまないで。と、<ruby>伝<rt>つた</rt></ruby>えて あげたいけれど、<br>
<br>
それは、かなわない みたい。<br>
<br>
ただ、あなたの <ruby>幸<rt>しあわ</rt></ruby>せを、<ruby>静<rt>しず</rt></ruby>かに <ruby>願<rt>ねが</rt></ruby>うだけ。<br>
<br>
<br>
いつかは、あなたの <ruby>記憶<rt>きおく</rt></ruby>も <ruby>消<rt>き</rt></ruby>えてしまう かもしれない。<br>
<br>
<ruby>自分<rt>じぶん</rt></ruby>の かつての なまえも、 <ruby>忘<rt>わす</rt></ruby>れてしまう かもしれない。](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-4.webp)
もう、悲しまないで。と、伝えて あげたいけれど、
それは、かなわない みたい。
ただ、あなたの 幸せを、静かに 願うだけ。
いつかは、あなたの 記憶も 消えてしまう かもしれない。
自分の かつての なまえも、 忘れてしまう かもしれない。
![<br>
わたし の なまえ は・・・
<br>](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-5.webp)
わたし の なまえ は・・・
![ここは、<ruby>影<rt>かげ</rt></ruby>の<ruby>国<rt>くに</rt></ruby>。
<br>
<br>
<ruby>毎日<rt>まいにち</rt></ruby>が おだやかで、やすらかな <ruby>場所<rt>ばしょ</rt></ruby>。](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/web-ehon-6.webp)
ここは、影の国。
毎日が おだやかで、やすらかな 場所。
「影の国のローザ」の挿絵について
この絵本の挿絵は、naokuroさんに依頼して描いていただきました!
![naokuro](https://akaeho.net/ehon/kagenokunino-rosa/icon.webp)
フリー素材の利用について
この絵本は以下のサイトのフリー素材を使用しています。
Old Book Illustrations この絵本の挿絵は、イラストレーターさんへのオーダーイラストとフリー素材で制作しています。 ※フリー素材は表紙の背景と装飾に使用しました。あとがき
この絵本は、ストーリーを作ってから、なんと1年以上も下書きに眠ったままだった作品です。
というのも、まずテーマが少々重い。自由に解釈して欲しいので敢えてストーリーの解説はしませんが。
あかえほでは、0~4歳向けの絵本を作っております。果たして小さな子供たちが楽しめる内容なのか・・・?
4歳でも微妙なんじゃないか?と考えているうちに、随分時間が経ってしまいました。
それから、挿絵がつけられなかった。難しいテーマなだけに、自分で絵を描くのは絶対に無理だな、と。
それがこの度ご縁があり、naokuroさんに挿絵をお願いすることができました。
イラストACやPIXTAなどでご活躍されているイラストレーターさんです。
![naokuro](https://akaeho.net/ehon/images/kagenokunino-rosa/1174513.jpg)
以前から交流があったのと、描かれているイラストのタッチなどから、この絵本の世界観を表現できる方なのではないかと思ったんですよね。
結果、見事に私のイメージを形にしてくださいました。
もうね、鳥肌が立ちました・・・!
いいご縁があったことで、『影の国のローザ』は世に出ることができました。
感謝しかないです。
ただ、親御様にお願いしたいのですが、正直小さなお子様にとっては難しく、また感受性の高い子であれば少しショックを受けてしまうようなストーリーだと思います。
どうか無理には与えず、でもこの作品が素敵だなと思っていただけたなら、挿し絵だけで楽しんでもらえたらと思います。